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回想/開戦前夜
1999年7月。24の夏。
結婚式を秋に控え、明日は両親とともに彼の自宅へ行くことになっていた。
結納などという堅苦しいことはやめにして、
かわりに両家でお食事などいたしましょうという、という主旨のもの。

お世辞にも社交的とは言えず、小心者のわたしの両親にしてみれば、
形式にのっとった結納の方が、よほど気が楽だったのではなかろうか。
まだ前日だというのに、二人が緊張しているのが手に取るようにわかる。

当時、完全にアルコール中毒患者と化していた父は、
緊張に耐えきれず、すでに泥酔し奥の部屋でひっくりかえっていた。
父はきっと明日も朝から飲んでしまうのだろう。
それを阻止し、正気の状態で連れ出さなければ…。
母と私のいちばんの心配事はこれだった。


ふと見ると…母が廊下にへたり込んでいる。
「お母さん、どうしたの?」
「ちょっと…苦しい…」

母は、生まれつきの心房中核欠損症で、
普段から、駅の階段の上り下りなど、すぐに息があがってしまい、
待って待ってと、わたしを呼び止めるのが常だった。
それでも日常生活に支障はないからと、特に治療らしいことはせずにきたのだが、
本来はもっと若いうちに手術を受けておくべきものらしい。

「やっぱり救急車呼んで…」
大丈夫だからと、一度はベッドに横になった母の声が聞こえ、
わたしは慌てて受話器をつかんだ。


初めて乗る救急車の車内。
目で見てわかるほど、母の心臓が大きく脈打っている。
ドクン、ドクンと、胸が上下しているのだ。
助かるのだろうか――。

カーテンが閉じていて、窓の外は見えない。
ただ、サイレンが大きく鳴って、四方の車が止まり、
どこか広い交差点を横切るのが、何となくわかった。

今でも救急車を見ると思う。
どうか乗っているその人が無事でありますようにと。


病院に着いて、どこをどう歩き回り、どれくらい待ったのか、
よく覚えていない。
ただ、狭い部屋で、当直の先生の話を聞いている時に見つめていた、
自分の指先のマニキュアの色、濃紺にシルバーのラメの散った、星空の色、
それだけが妙に印象に残っている。
前日は、地元の花火大会だった。夜空をイメージして塗ったのだったろうか。
きれいだけれど、普段は塗らないどぎつい色。
「何か…説得力に欠けるな…」
いやに冷静にそんなふうに思ったのを覚えている。

母はとりあえず落ち着いたようだった。
ただ、三カ月の入院と、難しい手術が必要とのこと。

彼の自宅に電話を入れる。
お義母さんがあれこれ準備をしてくれているだろうから、
明日の予定がだめになったこと、早くお知らせしなければ。

彼はまだ仕事から帰っていなかったが、
携帯に連絡を受けて、こんな遠くの病院まで来てくれた。

「どうしよう…わたし、結婚できないよ」
「…大丈夫だよ」

薄暗い病院のロビーで泣いた。
引き金を引いたのは私だろうかという思い。

その一方で、
心配性で過干渉の二人は、わたしを嫁に行かせまいとするのか。
意地でもわたしをつなぎ止めるのか。
若さゆえ、そんな意地の悪い考えもまた、頭をよぎった。
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テーマ:ひとりごと - ジャンル:その他

【2012/05/30 16:08】 | 家族/介護 | トラックバック(0) | コメント(0)
リハビリ
仕事が休みの日は
だるくてだるくて
終日寝込んでしまいます。

ここ一年くらいはとくにひどくて
今年の正月休みは寝ていた記憶しかありません。

2010年の年明けは
もう少しましなものにしたいと思うので
もう少しマジメにリハビリしようと思います。
【2009/10/13 13:08】 | ココロ/カラダ | トラックバック(0) | コメント(0)
引越

母の、特養入居が決まった。


今いるグループホームに入って4年。
認知症であっても、最初は元気に歩けていたのに、
入居後発症したパーキンソン病が進んで、
今は寝たきり。腕を上げることもできなくなった。

いろいろと医療処置が必要になってきて、
看護師さんが常駐していない今の施設では、看るのが難しく、
今年に入って特養をあちこち申し込みしてまわっていた。

ニュースなどでも言われているように、
特養というのはどこもいっぱいで、市内だと数百人単位の待機者がいる。
何年も待つのが当たり前という感じ。

介護職員にできない医療行為も、家族には認められていたりして、
在宅介護の可能性も考えざるを得なかった。
自分を育ててくれた母のためとはいえ…
一人きりで介護なんて、まるで自信がなかった。
介護サービスを最大限に使っても、難しいと思った。
それでも他に選択肢がなければやるしかない。
自分の性格や体力を思うと、仕事は辞めなければいけないだろう。
自由に外出もままならない環境で、やっていけるだろうか。
その先の、わたし自身の将来はどうなるんだろう。
考え出したらくらくらして、ぐちゃっってつぶれちゃいそうだった。
想像だけで情けないけど、かなりつらかった。


ところが、異例のスピードで特養から電話がきた。
要介護度の高さだとか、家族構成だとか、考慮してくれたのだろうけど、
それにしても早い。こんなに早くて大丈夫かと不安になるくらい。

新しい施設は、パッと見丁寧に管理されていそうだし、
提携病院も近いし、評判も悪くはなさそうだけど…
本当に大丈夫かどうかは入ってみないと分からない。
本人がなじめるかどうかがいちばん心配だ。

でも…不安よりホッとしたというのが正直なところ。

順番待ちで入れないお年寄りや、
在宅で介護がんばってる人がたくさんいるのだから、
とにかくまずは感謝して、新しい環境で母といっしょにがんばらなくては。

自分の時間がもてることにも感謝。…まだつい無駄にしがちだけど。
しばらく気が向かなかった、自分の体のメンテもしようと思う。


まずは、連休明け、母の引っ越しが無事に終わりますように。

テーマ:ほんのちょっとでも前進! - ジャンル:心と身体

【2009/05/02 21:29】 | 家族/介護 | トラックバック(0) | コメント(0)
近況諸々

9月はじめ、母が救急車で病院に運ばれた。
朝食を喉につまらせて、チアノーゼ(酸欠)を起こしたとのこと。

仕事に出ようとしていた私は、グループホームの方から電話を受け、
急遽、病院へ向かった。

幸い、ホームのスタッフさんの適切な処置のおかげで、
詰まったものはまもなく喉を通り、
救急車の中ですでに母は落ち着きを取り戻していたらしかった。

大事を取って、その日は病院に一泊し、母は再びホームへ戻った。

ほっとする暇もなく、一時は、
施設を変わってもらった方がよいのではないか、
病院を転々とする生活になるのではないか、
そういった話もあり、
叔父叔母が集まっての会議となるなど、
数日間はかなり悩んだ。

同様のことがまたいつ起きてもおかしくない、
それを思い知らされたのが、一番きつかった。

本人が幸せであるように。
それが一番とは言いつつも、やはり大きいのは、
受け入れ場所があるのかということだったり、
お金のことだったり。

結果、今のホーム長さんや主治医の先生の御厚意で、
これまでの施設に引き続きお世話になることで決着し、
ひとまず母のほうは落ち着いた。

ただ、この騒動がきっかけで、
遊ばせている実家を、売るなり活用するなり、なおして私が住むなり、
なんとかしようという話が動き出した。
リフォームする資金なし、不動産関連の知識なし。
贈与税、相続税、成年後見制度についてなどなど、
早急に勉強しなくてはいけないことが山積み。



あれから2カ月。

がんばらなきゃ、がんばらなきゃ。
そう思いつつがんばれない、情けない日々が続いている。
もう、人生終わりにしたいなんて思う日もあったりする。
(もちろん、それだけは絶対にダメってことはわかっているけど…)



風邪をひいて寝ていた日、
夢か現実か、遠くに音を聞いた気がした。

外で自転車を停める音。
お母さんが買い物から帰ってきた?

リビングのドアが開く音。
おじいちゃんが入ってきた?

どれもハズレだ。
誰もいるわけがない。
目が覚めて…肩を落とした。



昨日、母のところへ行った。

あれ以来、食事もすべてミキサー食にしてもらっている。
パーキンソンがすすんで、筋力が衰えているため、
小さくても固形物はもう飲み込み困難なのだ。
水分も、そのままだと気管に入ってしまう恐れがあるので、
とろみをつけてもらっている。

おやつの時間だったので、
とろみのついたオレンジジュースを、私が介助して飲んでもらった。
スプーンで一口ずつ。
口もあまり大きく開けることができない。
だから、言葉もはっきり話せない。
それでも、この日は調子がよかったようで、
「おいしい」と言って、すべて飲んでくれた。


帰り際、次は週末、
「新しい保険証を持って来るね」、と私が言うと、

「なくさないようにね」

母が言った。

何を言っているか聞き取れないことが多い中、
そもそも、認知症で話もちぐはぐになりがちなのに、
はっきりそう聞こえた。

ものすごく、うれしかった。
ああ、まだちゃんと、私のお母さんなんだ…
そう思った。
私にもまだ家族がいるんだなって。
がんばらなきゃなって。
そう、思ったんだ。…うん。

テーマ:おだやかな心でいるために - ジャンル:心と身体

【2008/11/07 00:10】 | 家族/介護 | トラックバック(0) | コメント(0)
就職・転職(後)の春

新しい職場に勤めはじめて、もうすぐ2カ月になります。

今度のところは、これまでの勤め先に負けず劣らずの
風変わりな会社。

業種で言えば、自動車整備あたりになるのだろうけれど、
ガレージにある車たちは、路上ではあまりお目にかからない、
色とりどりの外車やクラシックカー、レーシングカーなどなど。

私の仕事は、事務職だけど、
環境が環境だから、楽しく仕事できるんじゃないかと思って
決めた会社なのです。


長い休職で体力も落ちているし、
精神状態も決して万全ではなかったので、
週4日の勤務でスタート。
場所も家から車で10分ほど。

働きはじめはかなり苦戦したけれど、
慣れてくれば何とかなるもので、
今は健康状態もなかなかよく、欠勤もせず、
楽しく勤務できている。…が、

私ではなく、
社長以下、周囲に病人が続出!
ただでさえ慣れない電話応対なのに、
「みんな居ません」でどうしてよいやら、もう~。

わたしが疫病神?
…とか不安になったりして。
みんな早く元気になっておくれよー。



ガレージ

テーマ:ひとりごと - ジャンル:心と身体

【2008/03/04 17:20】 | 学び/仕事 | トラックバック(0) | コメント(4)
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底なし沼をスイミンぐ


日々のあれこれ。過去のなにそれ? 底なしの底に何がある? その奥には…。わからないから泳ぐんだってば。 すみません浮き輪ください……

プロフィール

ジン

Author:ジン
ココロとカラダのリハビリ中
人生軌道修正真っ只中デス。

主成分:
○'90年前後のUK ROCK
○日本のROCK/POPS(曲者)
○笑い ○おもちゃ
○雑誌 ○漫画
○服・雑貨(ゆるかわ)
○野望・夢(しばしば空想or妄想)
○漠然とした不安

関連用語:
PD(パニック障害)/うつ/不安/
パーキンソン/認知症/
DTP/Mac/写植/服飾 etc.


※プロフィール画像―背景の
 素敵な画像は「ゆん」さま↓
(c)Tomo.Yun URL

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